Points

  • SFAデータから育成イシューを抽出
  • 現場営業パーソンへのヒアリングで実例を収集
  • SFAデータでトレーニングの効果を検証

「営業トレーニング」は数多く存在していますが、「役に立たなかった」といった現場の声をよく耳にします。せっかく時間をかけ選定・作成し提供したコンテンツが刺さらない…。

育成プログラムを提供する側としては、有益な育成プログラムを提供し、それが営業成果に繋がっているということを示す必要があります。

では、どのように進めればいいのでしょうか?今回はそのヒントについて考えていきましょう。


『SFAデータから育成イシューを抽出』

トレーニングが「役に立たない」の裏にある大きな理由は、「現場が必要と感じていないトレーニングを行っている」というものです。具体的には、営業パーソンが既に「出来ている」と感じていることに対してトレーニングを行っていたり、「出来ていない」と自覚のないセールスパーソンに対してトレーニングを行っているケースが考えられます。

例えば、「顧客ヒアリングができていない」ことに自覚のないセールスパーソンに対して、「商談におけるヒアリングスキル」を上げるためのトレーニングを提供しても、「役に立つ内容だった」と本人には認識されません。
現場は「できている」と感じているが、育成担当は「できていない」と感じている。認識のギャップによるミスマッチが起きているため、施策の効果が期待できません。

では、どうすればいいのでしょう。

解決策としては「SFAデータを用いて、営業パーソンがどこでつまずいているのか、事実を客観的にみる」ことが挙げられます。
例えば、「案件の中盤フェーズ」から「案件のクロージングフェーズ」に繋げる確率が低い(営業フェーズ後半のコンバージョン率が低い)、というデータが見つかったとしましょう。このデータで、育成対象とすべき領域が営業後半フェーズに絞られてきます。ただし、具体的なテーマまではわかりません。「提案書がわかりにくかった」のかもしれませんし、「意思決定者へのプレゼンテーション力が低かった」のかもしれません。

次にその客観的な事実をもとに、現場や営業マネージャーへヒアリングを行います。
その結果、例えば「案件を進める際に、顧客からの鋭い質問に対して適切に返答できず信頼を得られずに他社に負けてしまっている」、といった課題感が多数得られたとしましょう。

ここまでくれば、取り組むべき「育成イシュー」が特定できます。この場合は「顧客に対する応酬話法」が育成テーマになります。

  • SFAデータによると「案件の中盤フェーズ」から「案件のクロージングフェーズ」に商談を前進させる確率が低かった(データによる客観的事実の把握)
  • 営業ヒアリングの結果、「顧客からの鋭い質問に対して適切に返答できていない」という情報を得られた(現場ヒアリングからの課題感抽出)
  • ゆえに、育成テーマは「顧客に対する応酬話法」である(育成テーマの特定)

という整理です。

このように、SFAデータでまず育成領域を絞り込み、現場ヒアリングを通じてより具体的な育成テーマが発見できれば、その後の育成施策展開の合意形成が図りやすくなります。


『現場営業パーソンへのヒアリングで実例を収集』

育成イシューが特定できても肝心なコンテンツの中身が「役に立たない」と感じられてしまってはアクションにつながりません。実は、トレーニングコンテンツが「営業成果の達成につながる実務的なコンテンツになっていない」という課題は多くの企業に存在します。

弊社がお客様とお話をすると次のようなケースをよく耳にします。

  • 安心感があるので、外部研修会社のコンテンツを選定
  • 育成体系の構築が急務で、とりあえずトレーニングを導入
  • 担当者が代わる度に新しいトレーニングを導入し続けた結果、新旧が混ざる、パッチワーク的なトレーニングメニューになってしまった

ビジネス一般のスキルコンテンツは巷に溢れています。しかし、営業に必要なコンテンツは営業プロセスを前進させ、受注につなげるコンテンツです。

このような「直接成果につながらないコンテンツ」に対してはどのように対応すればいいのでしょうか。

おすすめは「営業パーソンから実例を集めて体系化してコンテンツにする」ということです。これでも十分立派な育成コンテンツになりえます。皆様の会社でも取り組みやすい進め方ではないでしょうか。

例えば、先程の「応酬話法」を例に考えてみましょう。
コンテンツ制作の流れは下の通りです。

  • 応酬話法が得意な営業担当者にヒアリングをします。
  • できる限り具体的な方法(ここでは、応酬話法のフレーズ)を数多く集めます。
  • 「製品の機能」や「競合との違い」などいくつかのカテゴリーに分けます。
  • 加えて「応酬話法のロールプレイ」を組み込みます。

ここまでできればトレーニングテキストとして十分です。
「外部では提供できない、超実務的な皆様の会社の実情に即したトレーニングコンテンツ」が完成するのです。


SFAデータでトレーニング効果を検証

トレーニングを実施した後は、その効果検証をおこないましょう。

従来の一般的なトレーニングでは、「トレーニング参加者の満足度アンケート」や「知識確認テスト」といったやり方が多かったのではないでしょうか。この場合、「トレーニングがビジネス成果に貢献できたのかどうかわからない」、という致命的なジレンマを抱えていました。

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)では、データによる育成施策と営業成果の効果検証が可能となります。

先程の例では、「応酬話法トレーニング」という施策がそもそもどこから来たのかというと、SFAデータでした。「案件の中盤フェーズ」から「案件のクロージングフェーズ」に前進させる確率が低かったというデータがあり、営業ヒアリングの結果、応酬話法に取り組むべきという育成テーマが設定されました。

トレーニングの効果検証ではこの逆をおこないます。
今回の例で言えば、SFAデータで「案件の中盤フェーズ」から「案件のクロージングフェーズ」に前進させる確率が上がったかどうかを確認する、ということになります。
図で示すと次のようなサイクルです。

いかがでしたでしょうか。
今回はトレーニングコンテンツが「役に立たない」といったよくある課題からはじめ、実務的に役立つコンテンツを提供し、営業成果を通じて効果検証するサイクルについて考えてみました。

SFAを導入している企業は多いですが、データを活用して育成施策につなげているケースは非常に限られます。皆さまの企業でのトレーニング施策検討の際のヒントとして、今回の内容をぜひ活用してみてください。