Points

  • 育成サイクルを回すためには「成果・行動・スキルの3つの繋がり」を意識する
  • 部下の行動変容につながるトレーニングフォローはマネージャーによるコーチングが鍵
  • 成果・行動・スキルの3つをつなげる最初のステップ「スキルマップ」

「成果・行動・スキル」の3つ繋がりで育成サイクルが回りだす

「育成施策は色々行っているが結果につながっているのかよくわからない」

様々な企業の方とお話をするとよくこういったお声を伺います。
「結果」につながる施策を求め、「研修をゼロから選び直し」たり、「育成担当者が変わるごとにプログラムが一新」されたり「ラインナップは豊富だが一貫性がない」といったことが現場でよく起きています。

多くの企業が「トレーニングプログラム」の整備に注力しますが、それが成果にどのようにつながるかにはあまり検討の時間をかけません。

さて今回は、このような課題を解消するために、どのように考えればいいのか、どのようにすればいいのかみていきたいと思います。

そもそも企業にとって人材育成とは何なのでしょうか。企業はなぜお金や時間を使って人材育成を行うのでしょうか?

人材育成の目的を改めて考えてみると、それは「企業が求めるビジネス成果を生み出すため」ということにたどり着きます。下の図は、弊社が企業内人材育成の目的を説明する際に使うものです。

「成果・行動・スキル」の3つの繋がりで育成サイクルが回りだす

まず、左側「組織としてどのような成果を達成したいのか」。これが育成の起点になります。売上の最大化やシェア獲得といったものがこれに当たり、組織の戦略とアラインしたものになります。

つぎに、「そのためにどういう行動をとれる人材が必要なのか」を考える必要があります。成果につながる行動要件は何なのか?というのがここで考えるべきことになります。例えば、「顧客視点での課題仮説構築」かもしれませんし「複数商材の総合提案」ができることが必要となるケースもあるでしょう。

そして次に、「そういった行動がとれるようになるためにはどのような知識やスキルが必要なのか」を整理していきます。

右側は、下から上に流れを追っていきます。トレーニングや研修を通じて「必要な知識やスキル」を習得できたかの確認、次に営業活用を通じてそれらのスキルを使い「行動」に変化が出たのか、そして最終的に「求めていた成果」に繋がったのかを定量的に検証・確認します。

このように、育成プログラムや研修内容を改善していくことで人材育成のPDCAサイクルが回っていきます。


部下の行動変容につながるトレーニングフォローは育成を主眼とした1on1ミーティング 

このようにPDCAを回すには、成果・行動・スキル/知識の3つの要素が連動する必要がありますが、実はこの三角形の中ですぽっと抜けがちなものがあります。

それは真ん中にある「行動」の部分です。これはスキルや知識を「得た」あとに実際「使ってみる」「やってみる」という大切なフェーズです。

では、部下の行動につなげるためのフォローをどのようにやっていけばいいのか。イネーブルメントの文脈においてキーとなるのは「営業コーチング」です。

「営業コーチング」とはマネージャーが営業担当のパフォーマンス向上を目的に、継続的に個別指導や支援を行う営みのことです。単に「仕事の指示」をするのではなく、インタラクティブな対話を通じて「目標達成のための支援」や「成果につながる行動の強化」などを行っていきます。

そして、このコーチングで意識すべきことが2つあります。それは、

  • 成果につながるキーアクションにフォーカスした1on1
  • 進捗の可視化

この2つです。
「最近の進捗はどう?」「そういえば、先日のXXの商談はその後どう?」といった会話ではありません。部下の重点育成テーマにフォーカスして、実商談を通じてコーチングをおこないます。そして、その成長の進捗を時系列で可視化して振り返るようにします。

大手調査会社であるCSO Isightsによると、営業コーチングを取り入れている企業はそうでない企業と比較し28%成約率が高いという調査結果が紹介されています。また、2020.9月~2021.1月に行われたGartner社による営業パーソン1,122人を対象にした調査では、約6割弱が営業コーチングを実施しており、特にコロナ禍のリモートワークという状況下において営業コーチングがますます重要になってくるという見解が示されています。

「コーチング」という言葉に馴染みがない方は「1on1」や「個別ミーティング」に言葉を置き換えていただいても構いませんが、いざ実践しようとすると、やり方がわからず困惑したり苦手意識をもたれるマネージャーの方が多いのではないのでしょうか。様々な営業コーチングのメソッドが紹介される米国でも「雑談で終わってしまいがち」「上司の印象評価で一方的に進むので納得感がない」「同じような話で終わってしまう」といった現場でのお困りごとはよく聞かれます。

弊社でお薦めしているのは部下の「スキル」を軸にコーチングを始めてみる、というものです。主なメリットは3点です。

  • 強化すべきポイントが明確なため部下が行動に移しやすい
  • 上司の印象評価になりづらいため部下が納得感を得やすい
  • 部下の成長実感を生み出しやすい

1点目に関しては、「スキルレベル」を軸にコーチングを行うため、「強化するべきポイント」や「成果につながらない原因」が明確になり、育成テーマの優先順位や上司部下間で課題感の共通認識を持つことが可能となります。

2点目については、「スキルのレベル」という定量的な指標を用いることで上司の印象評価や主観ではなく両者の間で納得感のある対話が生まれやすくなります。

最後、3点目ですが、そもそもこれらのスキルが「成果」から逆算して抽出・整理されたものであるため効率的に成果に反映されやすいものであるということ、加えて、スキルの数値が上がることでモチベーションアップにつながる効果も期待できます。


成果・行動・スキルの3つをつなげる最初のステップ

この営業コーチングにおいてマネージャーの拠り所となるキーアイテムが「スキルマップ」(弊社呼称)です。スキルマップとは、成果起点で必要な行動要件とそれらの行動をとるために必要とされるスキルをもれなく抽出・整理したものです。

例えば、商談を進めるにあたり、「ソリューション導入後の運用を意識した提案書作成」が必要な行動(=Key Actions)だとします。この「提案書作成」が適切に行えるようにするためにはどのようなスキルや知識が必要なのか。

例えば、「ストーリー構成」「効率的なスライド作成」といったスキル、「自社ソリューションの機能理解」などが考えられます。ここまでくると取るべき育成施策が明らかになります。

成果・行動・スキルの3つをつなげる最初のステップ

このように「成果」を起点にしてスキルマップを整備しますが、ポイントは成果・行動・スキルがそれぞれ紐づいているということです。この三つ巴がどのように連動しているのか可視化する「スキルマップ」はイネーブルメントプログラムを開始する上での最初のステップであり、様々な育成施策の屋台骨となる強力なツールになります。

是非皆さんの会社でも検討していただくことをお勧めします。

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは>>